「森の延長でありながら巣の中にいるような安心感のある場としての園舎創り」
住宅地の奥の丘の上、森が深く広がる敷地に園舎の周囲全てから出入りができる円形型の園舎を設計。おおらかなアーチで構成された屋外回廊を建築の外周部に配置し、周囲に対して緩やかに閉じながら開く園舎計画としました。回廊は外部環境や夏季の強い日差しから優しく守りつつ、屋内外を越えた子どもの遊びを誘い、送迎の保護者との交流の場になります。屋内には中心に2層吹き抜けの遊戯室、周りに保育室等を配置し、保育室を越えて遊戯室や屋外回廊に活動域を拡げやすい計画としました。天井の高い遊戯室には開閉式のトップライトを複数配置し、自然採光で明るい空間を実現しました。この敷地からは縄文時代や古墳時代の遺構が出土しました。歴史の流れの延長に、未来に向けた子どもを育む豊かな器になることを願い、この施設を計画しました。
2023 JAGDA
1985年愛知生まれ。京都大学工学部建築学科、東京大学大学院を経てAteliers JeanNouvel、内藤廣建築設計事務所に勤務。2018年 橋本尚樹建築設計事務所設立。2022年よりNHA | Naoki Hashimoto Architects。現在は京都先端科学大学客員教授としてキャンバス計画にも携わる。主な仕事に、縄文遺跡が埋まる太古の森を子どもの居場所とした「玉造幼稚園」(千葉県成田,2020)、関東一小さい村の大屋根庁舎「丹波山村庁舎」(山梨県北都留郡,2022)。現在進行中では、大阪・関西万博シグネチャーパビリオン「いのち動的平衡館」など。受賞に、山梨県建築文化賞(2023)、日本建築学会作品選集新人賞(2023)など。
武蔵野美術大学工芸工業デザイン学科卒業後、デザインオフィスnendoを経て、2009年より日本デザインセンター原デザイン研究所に所属。2014年より三澤デザイン研究室として活動開始。ものごとの奥に潜む原理を観察し、そこから引き出した未知の可能性を視覚化する試みを、実験的なアプローチによって続けている。主な仕事に、水中環境を新たな風景に再構築した「waterscape」、かつてない紙の可能性を探求した「動紙」、国立科学博物館の移動展示キット「WHO ARE WE」、隠岐ユネスコジオパーク泊まれる拠点「Entô」のアートディレクション、上野動物園の知られざる魅力をビジュアル化した「UENO PLANET」がある。著書に『waterscape』(出版:X-Knowledge)。
Images
Production story
BACKGROUND
幼稚園から幼保連携型認定こども園への建て替え事業に伴い移転先の敷地の斡旋、仲介の不動産事業から園舎設計まで、横断的な事業を実施しました。園舎設計はNHAの橋本尚樹氏に、園舎及び施設全体のサイン計画は日本デザインセンターの三澤遥氏と手掛け、園のブランディング向上に取り組みました。
DATA
「玉造幼稚園」
所在地:千葉県成田市
竣工年:2022年
構造:鉄骨造(一部RC造)2階建
敷地面積:9436.79㎡
建築面積:1332.96㎡
延床面積:1828.48㎡
クライアント:学校法人浅野学園
建築設計:橋本尚樹(株式会社NHA)
サインデザイン:三澤遥(株式会社日本デザインセンター)
施工:北野建設株式会社
保育監修:ジャクエツ
土地売買:ジャクエツ