プロクライマーが語る「CLIMBING WALL GAMBA」の魅力

October 20th, 2020
渡邉 数馬/渡邉 沙亜里
プロクライマー
次期開催のオリンピックから正式種目として採用した「スポーツクライミング」。スポーツとしての歴史は比較的新しいが、現在その知名度が急上昇しているのは、年齢や性別を問わず、誰でも挑戦できるようになったことが大きい。クライミングジムだけではなく、公園や公共スペースなど、色とりどりのホールドが組み込まれたウォールを目にした方も多いのではないだろうか。
子どもたちは、元来よじのぼる行為が大好きだ。木でも急な斜面でも、どうやってのぼるかの試行錯誤と、それができた時の達成感を味わうと、理由なく体が動き出してしまう。まさに遊びの原点に近いスポーツがクライミングなのだと言えるだろう。

今回は小さな子どもたちもチャレンジできる本格的クライミングウォール「CLIMBING WALL GAMBA(以下GAMBA)」が、子どもたちにどんな成長をもたらすかについて、アスリートとして活躍するクライマーであり、クライミングジムを経営する渡邉数馬さんと渡邉沙亜里さんご夫妻にお話を伺った。

 

 
BIRD4208_Rプロクライマーの渡邉数馬さんと渡邉沙亜里さん

 

<プロフィール>

渡邉 数馬


千葉県出身。両親の影響で13歳からクライミングを始め、W杯や世界選手権にも参戦し、プロクライマー、ルートセッターに。2013年には福岡県にクライミングジム「ジップロック」をオープンしオーナーを務める。

 

渡邉 沙亜里


京都府出身。中学2年生の時にクライミングと出会い、わずか5ヶ月で出場したJOCジュニアオリンピックカップで入賞。その後日本代表としてW杯など多数の国際大会に出場。出産後に日本代表に復帰し、大手緑茶飲料のCMにも出演。

 

 

 

クライミングは子どもたちの自主性を伸ばすスポーツ



― さっそくですが、クライミングで遊ぶことによって、子どもたちはどのように成長するとお考えでしょうか。


数馬さん:クライミングは、子どもの意思を尊重すべきスポーツなんです。決して「やり続けなければならない」ものではないんですね。1ケ月に一度でもクライミングは上達するし、毎日通ってももちろん構わない。自分のやる気次第でどんなペースで通ってもいいという自由なスポーツなんです。だからこそ、子どもたちの自主性が伸びていくのではないでしょうか。

 

沙亜里さん:実際に壁を登るときも、「こうしなければいけない」という決まりはないんです。指導する側が右手を使った方がいいと思っても、登っている子どもが左手を使いたいというなら、納得するまで左手を出し続けていいんです。決まったフォームや練習法があって、「ああしなさいこうしなさい」と言われない唯一のスポーツなのかもしれません。

 
BIRD4538_R子どもたちの意思で自由に遊ぶことができる

 

 

最前線で活躍するアスリートから見たGAMBAの魅力



― お二人からみたGAMBAの魅力は、どのようなところでしょうか。


数馬さん:人は高く登るほど恐怖心がわいてくるものです。大人なら経験を積んでいる分恐怖心にも打ち勝てますが、まったくの初心者である幼児は、たとえ登りきる力があったとしても、怖くて最初の一歩を踏み出せないことがあります。GAMBAは上へ登るのではなく、横方向へ移動するトラバースがコンセプトになっているので、そういった高く登ることへの恐れがなくなります。落下に対する恐怖心を取り払えば、子どもたちはより集中して、ルートをクリアするためにはどうしたらよいか考えるようになります。特別な道具や服装を必要としないのも、GAMBAのいいところです。普段着にスニーカーで、子どもたちはいつでも自由にクライミングを楽しめますね。

 

沙亜里さん:これまでのクライミングウォールは、ホールドを回転させずに固定するためには、裏側から二本のボルトでとめなければならなかったんです。GAMBAは、回転防止機構が組み入れてあるのでウォールの表側からボルト1本で止めることができます。また、ホールドにもボルトが飛びている場所がどこにもないので、子どもたちが指をひっかけて怪我をするリスクがなくなりました。子どもたちが、好きな場所に自由に触れていい環境なら、園でも安心して導入できるでしょう。それに、ホールドの付け替えが容易になるので、新たなルートセットに変えることも簡単にできます。

 
BIRD4313_RGAMBAのホールド固定機構は、クライミング遊具およびクライミング遊具用部材としての特許を取得した

 

 

クライミングで子どもたちが学ぶものとは



― クライミングあそびで、身体の他に培われる能力はあるのでしょうか。


数馬さん:クライミングをやっている子は、視野が圧倒的に広いですね。視覚としての視野はもちろんですが、物事に対する考え方の視点が育まれるように感じます。性別・年齢・体格が違う同士で、同じ壁を前にして、自分だったらどうクリアするか意見を交換しあう。クライミングを通して、他人と生じる考え方の違いを、身体と頭の両方で学んでいけるんです。

 

沙亜里さん:うちの子を見ていると「自分が決めた目標をクリアできるまでは諦めない」、「みんながやめたとしても自分は納得できるまで続ける」といった芯の強さ、自立心が鍛えられているように見えますね。園では協調性を学ぶことができますが、クライミングは互いの考え方を尊重しあって進めていくスポーツなので、自立した個としての人間関係のつくり方を自然と学べるのではないでしょうか。

 

BIRD4490_R

 

BIRD4513_R

 

 

クライミングは世代や国境をも越えた「あそび」。



― 最後に、クライミングというスポーツとGAMBAの今後の可能性についてお話しいただけますか。


数馬さん:クライミングというスポーツは、世界大会でチャンピオンになっても、世界一険しい岸壁を登っても、根本的に「あそび」なんです。技術を極限まで突き詰めたプロのクライマーでも、そのルーツは誰かとの勝負だったり、自分自身がどこまで登れるか?というゲームから始まっているものです。あそびだからこそ夢中になれるし、本気で挑める。

 

沙亜里さん:私にとってクライミングは、何十年もかけてひとつのゲームに取り組んでいるような感覚です。いつの日か自分で定めた最終目標に到達するために、トレーニングを積んでいく。まるで、ゴールにいるボスを目指してレベルを上げていくゲームのようです。子どもたちも身近な場所にクライミングに触れられる環境があれば、自分の身体を動かしてクリアしていけるゲームに夢中になってくれると思います。

 

数馬さん:そうやってクライミングというあそびに全力で取り組んでいくうちに、世代や国境を越えた仲間ができてくる。GAMBAをきっかけとして、色んな壁を越えて様々なことが実現していくという感覚を、子どもたちだけではなく園のみなさん、保護者の方にも、もって頂けたらうれしいです。

 

 
BIRD4517_R渡邉数馬さん・沙亜里さん夫妻と長男の風馬くん

 

 

 

 

 
GAMBA-PVクライミングウォールGAMBAの紹介動画は  >こちら