大自然が生み出すあそびの可能性/株式会社岩岳リゾート代表取締役 和田寛氏インタビュー

January 29th, 2021
和田 寛
株式会社岩岳リゾート 代表取締役
あそびには自然が切り離せない。雄大な「山」という大自然の恵みを最大限に活かし、その素晴らしさを心と身体で体感できる施設がHAKUBA IWATAKE MOUNTAIN RESORTだ。冬はスキーを楽しむ観光客でにぎわうゲレンデであるが、夏はマウンテンバイクや、話題になった大型ブランコ「Yoo-Hoo!SWING」などのアクティビティを楽しめるマウンテンリゾートに表情を変える。今回は、HAKUBA IWATAKE MOUNTAIN RESORTを運営する株式会社岩岳リゾート代表取締役の和田寛氏に、自然が生み出すあそびの可能性についてお話を伺った。

 

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北アルプスの絶景が一望できる山頂テラス「HAKUBA MOUNTAIN HARBOR」の秋と冬の様子。


 

 

自然と共生するあそびで心と身体を解放する


 

―HAKUBA IWATAKE MOUNTAIN RESORTには、たくさんのあそびが体験できるアクティビティがありますね。


 

和田:元々はスキー場として、冬にスキーやスノーボードを楽しまれるお客様に来場いただいていました。しかし、国内ではスキーのニーズが減少傾向で、顧客満足度の観点でもビジネス的な側面でも、冬以外に遊べる場を提供する必要があったんです。どのようにお客様に遊んでもらおうかと考えたところ、白馬岩岳マウンテンリゾートの日本有数の景観を活かすべきだという結論に。日頃はオフィスでパソコンとにらめっこしているような大人たちに、大自然の中で非日常的な時間を過ごしてもらいたい。その思いから、夏から秋にかけて雄大な自然を楽しめるマウンテンバイクやバギー、大型ブランコ「Yoo-Hoo!SWING」などのアクティビティを新設しました。

 

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北アルプスの絶景を眺めるコース上を、自分自身で小型バギーを運転することができるバギークルーズ


 

―スキー場でマウンテンバイクが楽しめるというのは面白い発想です。


 

和田:スキー場の斜面をマウンテンバイクで駆け降りるという内容のアクティビティとなっています。ゴンドラで山頂まで上がり、重力を感じながら斜面を自転車で降りていくのは爽快感たっぷりですよ。「夏にはこんなあそびができるんだ」という気づきをお客様に与えたいと考えています。

 

―冬はスキー・スノーボード以外のアクティビティを楽しむこともできるのでしょうか?


 

和田:子どもやスキーが苦手な方でも気軽に雪に触れ合えるよう、そりあそびのフィールドを新設しました。また、かまくらや雪のテーブルを設置して、雪とたわむれながら食事などを楽しめるようにしています。普通のスキー場や日常では楽しめないあそびを気軽にできる場所を提供していますね。

 

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だれでも気軽に雪に触れて楽しめるようにと、雪でつくったフォトスポット


 

―まさしく自然と共生するあそびばかりですね。あそびの環境作りで大切にしていることを教えてください。


 

和田:日常から離れて身体と心を解放することが「あそび」だと考えています。特に現在は新型ウイルス流行の影響もあり、マスクをしたり家に閉じこもったりしなければならず、日常は息苦しいものです。山の中であれば開放感と安心感がありますし、普段と違う感覚を研ぎ澄ましながらもリラックスできる環境です。仕事も勉強も緊張感のある時間ですが、その効率を上げるためにはリラックスする瞬間を作らなければなりません。そのため、何も考えずにはしゃぎながらあそべる環境を提供することを意識していますね。

また、私のビジネスは99%自然の力で成り立っています。そこに1%手を加えることで、お客様はものすごく楽しめるようになる。「Yoo-Hoo!SWING」も、いわば大自然という特別な場所に特別では無い少し大きなブランコを設置しただけではありますが、それだけで自然の楽しさが倍増します。このように、自然を最大限に活かせるあそびとは何かを追求しています。

 

 

大型ブランコ「Yoo-Hoo!SWING」の魅力


 

―「Yoo-Hoo!SWING」を設置した経緯を教えてください。


 

和田:元々2台のリフトがあったのですが、その内1台を廃止したんです。でも、リフトが到着する展望台は素晴らしい景観を望める場所ですので、そのプラットフォームを何かに活用したいと思いました。その時にひらめいたのが、美しい景色の中に飛び込んでいくようなブランコを設置することでした。アルプスの少女ハイジのようなイメージで、子どもも大人もお年寄りも、誰もが楽しくあそべるのではないかと考えて、ジャクエツにつくってもらいました。

 

―2020年9月の連休は、HAKUBA IWATAKE MOUNTAIN RESORTが大勢のお客様で日本一の賑わいを見せたと伺いました。


 

和田:「Yoo-Hoo!SWING」を多くのメディアに取り上げてもらった影響もあって、ブランコは最大5時間待ちになるほど大勢のお客様に訪れていただき、70代のおばあちゃんにもブランコを楽しんでいただくことができました。目の前に山があり、崖のような場所でブランコをこぐというのはとてもスリリングで画力があります。そのため、若者世代を中心にSNSで広く拡散されたことも影響として大きかったですね。

 

―なぜそれだけ多くの人が「Yoo-Hoo!SWING」に夢中になってくれたのでしょうか。


 

和田:立地の珍しさはもちろんのこと、「分かりやすく想像しやすい楽しさ」が多くの方々の心に刺さったのでしょう。スキーやマウンテンバイクもそうですが、ブランコは普段感じられないG(重力)を体験できるあそびです。スピード感のあるGを体感すると楽しいと感じる本能が、人間には備わっているのかもしれません。

 

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雄大なアルプスに飛びこむような感覚を楽しめる絶景大型ブランコ「Yoo-Hoo!SWING」


 

 

大人が楽しむあそびが世の中を変える


 

―「Yoo-Hoo!SWING」設置後、何か目に見える変化はありましたか?


 

和田:「Yoo-Hoo!SWING」を導入する前は、美しい山岳景観を楽しめるHAKUBA MOUNTAIN HARBOR目的のお客様が大半でしたが、設置後はブランコ目的で訪れてくれるお客様も増えました。子ども連れのファミリーから若者世代まで、客層が広がったと感じていますね。山岳観光地はお年寄りのお客様が中心になりやすいですし、スキーも平均年齢が上昇傾向にあります。ビジネスの将来性や白馬全体の戦略としても多世代化は重要で、発信力という観点も含めて、さらに多くの若者世代に楽しんでもらいたいと考えています。これからも若者が来たくなるようなあそびを仕掛けていきたいですね。

 

―お客様の多世代化に貢献できてよかったです。最後に、和田さんの考える「あそびの可能性」について教えてください。


 

和田:快適な非日常感こそあそびだと思っていますので、身体を動かさなくても、遊具を使わなくてもあそびはできるものです。雄大な景色を見ながらゆったりとコーヒーを飲んだり、青々とした芝生の上に寝転んで山を眺めたりするのも立派なあそびです。ぜいたくな時間をお客様に過ごしていただきたいという思いで、レジャーの仕事に取り組んでいますね。

また、あそびを提供する上で大切なのは、自分たちが楽しめるかどうかだと考えています。大人が楽しまないと子どもが楽しめる場を作れませんし、大人のあそびがないと世の中は変わっていきません。「大人が何を楽しみたいか」という観点から発想し、豊かな人生の一助となるあそびを提供していきたいです。

 

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株式会社岩岳リゾート代表取締役の和田寛氏


 

 

 

HAKUBA IWATAKE MOUNTAIN RESORTの紹介動画


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大型ブランコ「Yoo-Hoo!SWING」の紹介動画


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