PLAY DESIGN LABの3つのプロジェクトがキッズデザイン賞を受賞〜キッズデザインの視点からみた最新デザイン動向とは

February 19th, 2024
PLAY DESIGN LAB
プレイデザインラボ 事務局
紅谷 浩之
医師 / オレンジホームケアクリニック代表
為末 大
Deportare Partners代表 / 元陸上選手
瀧 靖之
東北大学加齢医学研究所教授 医師 医学博士
2023年度第17回キッズデザイン賞の受賞作品258点が発表された。

今回の受賞作品を通して印象的なのは、子どもが主体的に参画する活動や、国籍や障がいの有無に関わらないインクルーシブデザインなど、子どもたちの主体性と多様性を尊重する現代デザインの方向性を反映した作品が複数受賞していることだった。また、PLAY DESIGN LABからうまれた3つのプロジェクトも、審査委員長特別賞も含めたキッズデザイン賞を受賞し、それらのプロジェクトをあらためてご紹介したい。

 

<キッズデザイン賞とは>
キッズデザイン賞は、子どもや子どもの産み育てに配慮したすべての製品・サービス・空間・活動・研究を対象とする顕彰制度。キッズデザイン賞は、「子どもたちが安全に暮らす」「子どもたちが感性や創造性豊かに育つ」「子どもを産み育てやすい社会をつくる」という目的を満たす、製品・サービス・空間・活動・研究の中から優れた作品を選び、広く社会に発信していくことを目的に創設され、子ども用にデザインされたものはもちろん、大人・一般向けに開発されたものでも、子どもや子育てに配慮されたデザインであればすべてが対象となる。

 

・キッズデザイン賞WEBサイト https://kidsdesignaward.jp/


 

 

最優秀賞は子ども参画型のプロジェクト「こども選挙」


第17回キッズデザイン賞で最優秀賞(内閣総理大臣賞)に選出されたのは、神奈川県茅ヶ崎市の市民による、こども選挙実行委員会が実施した模擬選挙プロジェクト「こども選挙」。2022年10月30日の茅ヶ崎市長選挙と同日に「ちがさきこども選挙」として市内11カ所に投票所を設置し、ネット投票もあわせて566票の子どもたちからの投票と399通の候補者へのメッセージが集まった。選挙の運営にも子どもが関わり、候補者への質問も考えた。候補者は自身の考えが子どもにもわかりやすく伝わるように動画で回答するが、これは結果的に「誰にでもわかりやすい選挙メディア」としても評価された。さらに「こども選挙」は、そのノウハウをオープンにしたことにより、その後の統一地方選挙においても全国の他都市に広がりをみせているという。

2022年、こども家庭庁設置法とともに成立した「こども基本法」には、全てのこどもが意見を表明し社会活動に参加する機会が確保されることが盛り込まれた、これから子どもたちがこれからの社会をつくり、担う主役として位置づけられることがますます重要になってくるだろう。

そしてここからは、審査委員長特別賞も含めてキッズデザイン賞を受賞したPLAY DESIGN LABのプロジェクトの3つのプロジェクトをあらためてご紹介したい。こちらは医師、アスリート、脳科学者といった各分野の専門家が子どもたちの環境づくりに関わっているのが大きな特徴で、広い視点で子どもたちの環境について考えるプロジェクトだ。

 

RESILIENCE PLAYGROUND


キッズデザイン賞 審査委員長特別賞
子どもたちの創造性と未来を拓くデザイン部門/プロダクト、商品デザイン分野



プレイデザインラボのアンバサダーでもあり「オレンジキッズケアラボ」の代表理事を務めている紅谷浩之さんが監修した、元気な子どもも、医療ケアが必要な子どもも、障がいの有無や個性に関わらず、みんなであそび社会に適応していく力を養う遊具シリーズ「RESILIENCE PLAYGROUND」はキッズデザイン賞 審査委員長特別賞(子どもたちの創造性と未来を拓くデザイン部門)を受賞した。

トランポリン「YURAGI」、ブランコ「KOMORI」、スプリング「UKABI」の3種類の遊具が開発されたRESILIENCE PLAYGROUNDは、障がい児と健常児が一緒に遊べる機能を持ち、遊びに触れる機会を増やすことで、発達を促すことを目指した遊具となっていることで、新しい遊びの環境を育む良質なアプローチであると評価された。

 

■受賞理由(キッズデザイン賞WEBサイトより)
重度の障がいを抱えた子どもたちと、健常の子どもたちが一緒に遊べる遊具であり、新しい遊びの環境を育む良質なアプローチである。強い刺激が不得手な子どもでも楽しめるよう、開発においてシミュレーションを実施しており、インクルーシブデザイン遊具の領域を拓いた。

■審査委員コメント(キッズデザイン賞WEBサイトより)
障がい児の遊べる遊具が少ないという現状を鑑み、開発されたユニバーサルな大型遊具である。トランポリン、ブランコ、スプリングなど、健常児とともに遊べる機能を持ち、遊びに触れる機会を増やすことで、発達を促すことを目指した遊具である。

 

・キッズデザイン賞サイトはこちら


 

 

Keplerシリーズ


キッズデザイン賞
子どもたちの創造性と未来を拓くデザイン部門/プロダクト、商品デザイン分野



プレイデザインラボのフェローである為末 大さんが監修した大型遊具Keplerシリーズは、あそびで体の使い方が「巧み」になるように考えられた遊具。

コロナ禍以降、子どもの運動不足、体力の低下が懸念されている中、「Kepler Tower」で遊ぶことで、複雑な動きが伴うことによって、遊びの幅が広がる可能性を秘めており、また全身を使ってバランスをとることで必要な体力や基礎能力を育むことができる遊具になっていることが評価された。

■審査委員コメント(キッズデザイン賞WEBサイトより)
コロナ禍以降、子どもの運動不足、体力の低下が懸念されている。特徴であるスラロームは二重になっており、複雑な動きを伴い、遊びの幅も広がる可能性を秘めている。全身を使ってバランスをとることで必要な体力や基礎能力を育む、新たな大型遊具である。

 

・Keplerシリーズについての記事はこちら
「為末 大氏に訊く、遊具を使ったあそびの可能性」


・キッズデザイン賞サイトはこちら


 

OTOMORI


キッズデザイン賞
子どもたちの創造性と未来を拓くデザイン部門/プロダクト、商品デザイン分野



こちらもプレイデザインラボのフェローである東北大学 教授 瀧 靖之さんの協力のもと開発された「OTOMORI」。

音やリズムに親しむことで、脳科学の観点から子どもの成長、発達にとって大切な「知的好奇心」「運動」「コミュニケーション」を育むことを目的とした音あそび教具となっている。乳幼児を主な対象としてタイコやベルなど簡単な操作で音を鳴らし、リズムを取る面白さを感じ取ることや友達と一緒に音あそびを楽しむことで脳全体の活性化を促すことを目的としている。

 

■審査委員コメント(キッズデザイン賞WEBサイトより)
叩く、回す、押すの操作で音遊びができる遊具である。同様の遊具と比較しても、大きさと質感のクオリティが高い。幼児期の音楽は型にはまりやすく、従来の楽器では遊びに取り入れにくかったが、アイデアでこれを解決、音遊びを誘導しやすくした。

 

・OTOMORIについての記事はこちら
「子どもたちの健やかな脳発達のために ― 脳を理解して、子どもの知的好奇心や認知機能を伸ばす 」


・キッズデザイン賞サイトはこちら


 

2023年度のキッズデザイン賞ではプレイデザインラボチームとフェロー・アンバサダーによる研究をもとに開発がすすめられた製品や取り組みが評価をいただいた。

プレイデザインラボでは今後もフェロー・アンバサダーの協力をいただきながら「あそび」が持っている「力」を最大限に発揮することで現代社会が抱えている課題解決の一助になるような研究や取り組みを進めていきたい。