petite toilette


心地よい子ども用便器

便器のデザインは、子どもたちの健康に関わるデザインです。感染症への心配や、現代の子どもが抱える便秘の問題、そして年々インテリア性が高まり多様化するトイレ空間に見合う意匠性が求められす。プティトワレでは衛生・排泄・意匠の3方向からのアプローチを統合し、子どもも保育者も、より心地よく使えるデザインを目指しました。


1. 便秘がちな現代の子どもたちのために、体格に合うだけでなく、排泄しやすい設計。

2. ますます求められる高い衛生レベルを実現するために、清掃性、流しやすさ、飛沫防止機能を向上。

3. 居心地の良いトイレ空間をつくるため、どんな空間にも映える、洗練された優しく心地よいデザイン。


HASHIDA Noriko
Product Designer

1988年東陶機器株式会社(現TOTO株式会社)入社。1991年より同社デザインセンターにて、タンクレス便器ネオレストなど水廻り全般のプロダクトデザインに携わる。2008年 NORIKO HASHIDA DESIGN 設立。2009年同学デザイン工学部デザイン工学科教授に就任。生活用品や家具設備のデザインを感性工学を用いて研究開発している。日本デザイン学会、日本感性工学会所属。グッドデザイン賞審査委員、特許庁意匠制度小委員会委員、キッズデザイン賞審査委員等を歴任。

Images

Production story

BACKGROUND

感染症の流行により乳幼児施設のトイレには、清掃性、流しやすさ、飛沫防止など高い衛生レベルが求められる時代となってきました。また、現代の子どもたちには食生活や生活リズムの変化から、便秘の低年齢化も起こっており、これまで言われてきた規則正しい睡眠・運動・食事に加えて排泄の重要性も注目されています。排泄のための器ということ以上に、子どもの健康を支える便器の役割は高まっています。さらに近年は、子どものトイレも多様な空間デザインがなされるようになり、特に保育施設においては低年齢児のトイレでは介助が必要なため個室を設けず、便器そのものが目に入りやすい場合も多くあります。便器自体の存在感が高まるため、シンプルでデザイン性の高い衛生器具が求められています。

SOLUTION

排泄のためのデザインとして、子どもが排便しやすい便座形状を実現するため、座面着座時の体圧分散、坐骨結節間距離の計測などを行い、座るだけで自然と排泄しやすい姿勢が取れるように検証しました。結果、やや前傾の姿勢を取ることで排泄を促すようになりました。また、衛生管理のために、ワンタッチで便座が取り外せる構造を開発、かつ全体的に凹凸の少ない形状として清掃性を高めています。子ども特有の使用後の流し残しに対しても、タンクの洗浄レバーを大小を流し分けない下向きへの一方向式とし、指をかけやすい形状でデザインしました。小便器は、フチに返しがなく、壁面に汚れが伝いにくい設計とし、且つ目皿奥部が少し浮く形状にすることで清掃時に取り外しやすくし、よりスムーズな日常清掃を可能にしてます。意匠デザインは、多様なトイレ空間にマッチする、シンプルかつ優しい造形を目指しました。成果として、子どもも大人も皆が使いやすく心地よいデザインを実現しました。

2020 GOOD DESIGN AWARD

2020 KIDS DESIGN AWARD