「あそびがシームレスに続く園舎」
新しい地域コミュニティづくりを目指し園舎全体を遊び空間とすることで、表情やジェスチャー、身振り手振りによるコミュニケーションで人の活動をどう喚起するか、園舎の内外でどのような関係性が生まれるかをテーマに設計を行ないました。中庭と屋上園庭、保育エリアは手を繋ぐようにそれぞれ吊り橋のスロープでつなっがています。また泥んこ遊びができる中庭は雨の日でも遊べるように室内のホールと連続させ、1年中活発な自由保育ができるようにしました。中庭から上を見ると屋上デッキや保育エリア、吊り橋で遊ぶ子どもたちが見え、上下で様々なやり取りが生まれています。各エリアを繋ぐスロープは地域住民とのコミュニケーションの場となり、またあそびが連続し様々なところでコミュニケーションを生み出す場となりました。
静岡県浜松市出身。京都造形芸術大学プロダクトデザイン学科卒業。2015年株式会社ジャクエツに入社。スペースデザイン開発課にて、遊具や遊び空間のデザイン・設計を担当。2019年アルミ製遊具「PLAY COMMUNICATION」にてグッドデザイン賞受賞、キッズデザイン賞受賞。2023年9月に紅谷先生と一緒に立ち上げた障がいの有無に関係なく遊べる遊具シリーズ「RESILIENCE PLAYGROUND」がキッズデザイン賞審査委員長特別賞を受賞。
Images
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川澄・小林研二写真事務所
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川澄・小林研二写真事務所
Location
Production story
BACKGROUND
いわさき保育園は共働きで子育てがしやすいまちとして人気のエリアにあります。その人気を表すように家々が建て込む住宅街に位置するいわさき保育園の子どもたちは日常的にはだしで過ごすのが園の方針で、自発性をうながす自由保育を取り入れています。長年に渡り子どもたちの健やかな成長を見守り続け、卒園した OB・OG が大人になって自分の子どもをあずけたいと希望する方が多いという、地域に深く浸透した、まちの人々から親しまれている保育園です。新園舎の提案に際しては、保育方針を存分に発揮できる園舎であること、40年を越える地域とのつながりを大切にした、地域に開かれたものであることが求められました。そこで、家から園へ、室内から屋外へ、園からまちへ、そして未来へと「つづく、あそびば」をキーワードに、開放的でフレキシブルな園舎を構想。園庭を広く取れない限られた面積の中で、子どもたちがはだしで走り回れる外部空間として屋上デッキや外廊下、 スロープを設け、あそびが続いていく園舎を目指しました。
INSIGHT
まちに馴染みながらも新たな風景となる新園舎が誕生しました。保育園だけで「閉じる」のではなく、まちの保育園として様々な方向に「開いていく」。子どもたちだけでなく働く人たちの多様性が求められるこれからの地域コミュニティを地域に発信する新しい居場所となりました。
DATA
社会福祉法人和会 いわさき保育園
所在地:千葉県松戸市
竣工年:2023年
構造:鉄骨造2階建て
敷地面積:838.88㎡
延床面積:715.83㎡
建築設計:株式会社ジャクエツ
施工:上村建設工業株式会社
2023 IDA International Design Awards 2023/Educational Architecture Design部門 GOLD受賞
2023 rchitecture MasterPrize 2023/Educational Buildings部門 入選
2023 日本空間デザイン賞2023 入選