• photo by Masaki Ogawa

「人類のための、知的遊具」


円と曲線をつないでつくる、人間の知識と本能をくすぐる遊具ができました。踊り場のない難易度の高い構造で、頭をフルに使って、ダイナミックに。まるでスポーツや木登りをするような遊びごたえで、判断力や挑戦する心が刺激されます。子どもも大人も。原っぱにもオフィスにも。だれもが思わず飛びついて体を動かしたくなるあそび空間が生まれます。


PLAY DESIGN LAB

Images

  • SAPIENCE 001
  • SAPIENCE 002

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Production story

BACKGROUND

いま人類は、ホモサピエンスとしての
身体の能力やひらめきを
十分に使いきれているだろうか。
SAPIENCE。
それは、木に登り、石をわたっていたころの
生きものの感覚を取りもどす知的遊具。
植物がきびしい環境にさらされる度に
力を得て進化をしてきたように
例えばいま、都市に暮らすわたしたちの
目の前にこんな遊具があらわれたら
人々はどんな進化をはじめるだろう。

INSIGHT

こんな道のりを歩くことを想像してみてほしい。「人の身長ほどの岩石が転がる岩場」「どこを見ても凸凹に隆起しているはらっぱ」「ねばねばとした泥がたまった沼」「木の枝につかまりながら進む急な山道」「立ちはだかる土の壁」。自然界では当たり前の光景だが、私たちが普段暮らしている平面的な都市には、このように刺激に満ちた環境は少ない。かつて森の近くで暮らした人類は、自然のなかで出会う地形の凸凹や、木々の太さといった複雑な情報を瞬時にキャッチし、素早く次の動作として出力できる高度な知性を持っていた。SAPIENCEは人類の、平面で構成された都市の生活では滅多に使わない「生きものとしての知性」を目覚めさせる装置だ。

SOLUTION

曲線を描く支柱、硬いロープ、それらをつなぐボール。SAPIENCEはこの3要素からなる一見シンプルな構造体である。しかし、ひとたびこの遊具を遊びこなそうとするならば、たとえば木登りに近いような、高度な判断力、注意力、身体性が求められる。SAPIENCEには手すりや足場がない。「ここに手をかけてください」というアフォーダンスもない。1本の支柱は大人にとっては手すりとなり、子どもにとっては腕を巻きつけてよじ登る木の幹となる。ロープでできた地面はぐらぐらと予想外の動きをし、沼を歩いているような感覚をもたらす。人々は次の手がかりを探し、すぐさま判断し、時には勢いをつけて思いもよらない方向に体を動かさなければならない。自然物は人工物よりむずかしい。だからこそ、そこでは高度な知性が育まれる。そんな考えがSAPIENCEの発想の起点にある。

HOW IT WORKS

木や岩を抽象化した曲線、ゆらゆらと不安定なネットの足場。SAPIENCEは自然あそびのなかで培われる左脳の分析力と、右脳のひらめきがバランス良く鍛えられる遊具。踊り場のない難易度の高い構造は、子どもたちの中に眠る粘り強く考え、戦略を立て、からだを使って試す力を引き出す。何度も遊ぶうちに「目で見て手でつかむ」「手で確かめて足をかける」といった身体の協応性が身につき、いつの間にか無駄のない身のこなしになっていく。

 

SAPIENCE 001
サイズ:2085×7207×H5269mm
素材:鉄(焼付塗装) / Si-PCコポリマー / コンバウンドロープ

SAPIENCE 002
サイズ:1174×3821×H3800mm
素材:鉄(焼付塗装) / Si-PCコポリマー / コンバウンドロープ