清春芸術村に”こどものための建築”
「遊びの塔-tower of play」は、建築家・内田奈緒氏により、登るという身体的な行為によって自分の周りに広がる空間を知覚し直すことが「あそび」の原点になる感覚なのではないかと考え、「子どもたちが最初にふれる建築」として誕生しました。塔の中には、緩やかな傾斜の床のネットをのぼると、上部からは敷地内の名建築や山々などの景色を眺めることができます。
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東京生まれ。2010年より日本デザインセンター・原デザイン研究所にて空間、建築関係のプロジェクトに携わる。2016年東京大学大学院工学系研究科建築学専攻修了。在学中の2014-2015年にスイス連邦工科大学(ETH)留学。 修了後、デザインオフィス・nendoに在籍し、国内外でインスタレーションや展覧会の会場構成、建築・家具のデザインを担当。現在は、自身の事務所・nao architects officeを主宰し、建築や内装、家具などの設計に従事。また、バーゼルと東京を拠点とする建築設計事務所・an-a-c共同主宰。日瑞建築文化協会(JSAA)理事
Images
Production story
BACKGROUND
「遊びの塔ーtower of play」は、昨今のAI時代を生きる子どもたちが「あそび」「建築」「アート」を通じて感性を磨き、小さな子どもたちにも「本物の『建築』に触れて欲しい」、「『建築』という世界があることを知ってほしい」という思いから始まったプロジェクトです。
SOLUTION
登るという身体的な行為によって自分の周りに広がる空間を知覚し直すこと、これが幼いときの「あそび」の原点になる感覚なのではないかと考え、この塔では、じっとしているだけでも身体と建築との間のエネルギーのやりとりが意識されるような、そんな体験をしてほしいという思いがありました。この建築の中で、身を委ねる床と、外の景色との関係性を絶えず変化させながら、これからの時代を生きる子どもたちが身体いっぱいあそび、感性を育んでいってくれることを願います。
HOW IT WORKS
内田氏は、清春芸術村内に立つ「エッフェル塔の階段」を起点に、ここに「もう一つ小さな塔を建てるとしたら」と考え、「少しねじれたネットの床を空に向かって積層させる」イメージをふくらませました。四本の柱と梁と屋根でプリミティブな塔のフレームをつくり、その中に傾斜した柔らかい床を重ね、階や部屋といった要素を意識しながらも、上に向かって緩やかに連続するようなあそびの建築です。