TOMONOBU Noriyuki
姿勢がピッ！とよくなるイス
子どもの姿勢に関する人間工学の研究により明らかとなった姿勢が悪くなる要因の一つ「骨盤の後傾（骨盤が後ろに倒れた状態）」を解消するため、腰を立てることで姿勢がよくなる幼稚園・保育園向けの木製椅子です。垂直に立った低めの背板が腰を支えることで、骨盤が立ち、背骨が自然なS字カーブを描き、正しい姿勢で座ることができます。
Images
Production story
BACKGROUND
近年、幼稚園や保育園で、子どもの姿勢が悪いと感じる保育者が増えています。姿勢が悪いと「浅い呼吸が引き起こす脳の酸素不足による集中力の低下」「体の歪みや筋力不足による運動能力の低下」「腹部の圧迫による消化不良」など、子どもの心身に様々な悪影響を及ぼす恐れがあります。そのため、保育者による姿勢指導に加え、姿勢よく座るための保育環境を整えられるよう、正しい姿勢で座るための工夫を盛り込んだ椅子を開発しました。
SOLUTION
椅子に深く腰掛け、背板で腰を支えるため、お尻が後ろに下がりやすいよう座面を少し後ろに傾けました。座面の前部分は足と足との間が少し山形に膨らんでおり、足が適度に開き下半身が安定するため、さらに腰を立てやすくなっています。また、幼稚園や保育園で使用する椅子はクラスで基本的に同じサイズを使うため、体格差を考慮し、できるだけ多くの子どもが床にしっかり足を着け安定して座れるよう、年齢毎に最適な椅子の座面高さと奥行を検証しました。
HOW IT WORKS
ピットチェアを使用している幼稚園からは、使い始めてしばらくすると子どもの背がピッと伸び、走るのが早くなったとの声を頂きました。また、人間工学実験を実施し、着座時の体圧分布と重心位置の計測からは腰が背板にしっかり当たる事により、重心移動が少なく安定して座れているという結果が得られた。さらに姿勢角度の観察では、座面に対し体幹が90度近くで安定し、背筋が伸びている様子が見られました。
ピットチェア
サイズ：375×320×H315mm
素材：成型合板
2017 KIDS DESIGN AWARD