「あそびとコンセプチュアルアートのコラボレーション」
コンセプチュアル・アーティストであるローレンス・ウィナーが「あそび」をベースにして言語を選び生み出した作品を、FRP製遊具CUBEとコラボレーションした、スペシャルエディションです。

1942年ニューヨーク・ブロンクス生まれ。2021年2月10日没。言語を主な媒体として作品を制作し、その作品は世界中で展示され、様々な言語で解釈されている。あそびをコンセプトにしたオリジナルアートを制作。
Images
Production story
BACKGROUND
「あそび」とは自分の知らないこと、経験したことがないことへ挑み、楽しむこと。「アート」とは一見分からないもの、簡単に言葉にならないものをつくりだすこと。「アート」は「あそび」であり、「あそび」もまた「アート」であるといえます。子どもたちが暮らしの中で自然と「アート」に触れられるように、アーティストとコラボレーションする PLAY&ARTプロジェクトが始動しました。第一弾では、コンセプチュアル・アーティストの旗手であるローレンス・ウィナー氏によるタイポグラフィがYUUGUとの融合を果たしました。
INSIGHT
ローレンス・ウィナーは、作品の制作にあたり、“あそび”についてこんなメッセージを寄せてくれました。
IT IS DIFFICULT TO DEFINE THE WORD “PLAY” , BECAUSE “PLAY” IS VERY ALIKE THE WORD “FREEDOM” AND IT IS ALSO DIFFICULT TO DEFINE “FREEDOM” .
PLAY IS THE MOST COMPLICATED THING IN THE WORLD BECAUSE IT IS LIKE FREEDOM AND NO ONE KNOWS WHAT FREEDOM REALLY MEANS & PEOPLE TURN IT INTO A GAME.
IN PLAY YOU CAN WIN OR LOSE BUT FREEDOM YOU CAN JUST HAVE.
“あそび”という言葉を定義するのは難しい。なぜならば、“あそび”という言葉は“自由”という言葉に似ていて、“自由”という言葉も定義するのが難しいからだ。
あそびは世界でもっとも複雑なものだ。なぜならば、あそびは自由に似ていて、誰も自由の本当の意味を知らないし、人々は自由をゲームにしてしまう。
あそびでは勝ち負けがあるが、自由は手に入れるものである。
SOLUTION
遊具とアフォーダンス / おおきな立方体
CUBEは、立方体に大きく開けられたスリットや円形のトンネルが特徴的な低年齢児向けのFRP製遊具です。ひときわ存在感のある立方体の周囲には、外周を回る動線、通り抜ける動線、溜まる空間が同時に存在し、その多様性から、子どもたちが自然とCUBEの周りに引き寄せられていきます。
子どもたちの基地を園庭に
一辺が2mの大きなボリュームに刻まれたスリットは多様な動線を生みだします。そこでは反対側にいる見えない相手を想像しながらの追いかけっこなど、様々な動きが誘発されます。一方で大きくあいた丸い穴は、子どもにとっては落ち着ける隠れ家となります。CUBEには、通り抜ける、潜り込む、滑り降りる、よじ登るどの動的な要素と、憩う、隠れる、といった静的な要素が共存し、単純な形態ながらも複雑な魅力を作り出しています。
オブジェから生まれる多種多様な遊び
CUBEの魅力の一つに絶妙な角度に設定された滑り台があります。ゆるやかに作られたその坂は、滑る以外にも、登る、寝転がるなど新しいあそびの要素を子どもたちに与えます。
普通に滑ってみたり、滑り台から丸い穴へ転がり込んでみたり、滑り台を乗り越えて向こうの穴へ行ってみたり。飽きてきたら今度は逆回り。下から上にかけあがる。
いつまでも興味が途切れることのない不思議な立方体です。
HOW IT WORKS
『哲学者のカントは「目は知識を求め、心は理性を求める」という趣旨の言葉を残しています。ここでいう「理性」が、既成概念や因襲の足かせから解き放たれた近代人の認識の状態だとすれば、それは「自由」という言葉に置き換えることもできるかもしれません。その意味において、ローレンス・ウィナーの「自由=あそび」は、このカントの「理性」に非常に近しいものだと僕は考えています。
視覚情報は、目にしたものという前提のうえに解釈されます。しかし、心の中で考えることには前提条件がありません。だからこそ自由度が高く、想像力次第でいくらでもあそべるんです。
でも、大人になるにつれて既成概念や先入観といった思い込み要因は大きくなっていき、自分の世界というものが固まりがちです。すると、その世界から外れるものや自分には分からないもの、自分とは違うものに、ある種の拒否反応が生まれてしまいます。実際、現代美術を観賞しても自分には分からないと切り捨ててしまう大人は多いです。
でも、「分からない」と感じることこそがすごく大事なのではないでしょうか。分かるということは既に知っていることで、分からないことは自分が知らないこと。自分の知らないこと、自分とは違うものを受け入れて、心を解放することこそが、心の「自由=あそび」につながるんです。だからこそ、コンセプチュアルアートは大人にとってのあそびになり得るものだと思います。』
(現代美術画廊 那須太郎氏インタビューより引用)
CUBE Special Edition
サイズ:2000×2000×H1500mm
素材:FRP
カラー:Blue, Gray