誰もが揺れ体験を楽しむことができるブランコ


医師であるとともに医療的ケア児の活動拠点づくりや様々なプロジェクトを展開されている紅谷浩之氏の監修により開発された遊具です。

身体の障がいにより身体の安定が難しい子や、景色の大きな変化等の感覚刺激に過敏で痛いと感じてしまう子にとって既存のブランコは遊ぶことができない遊具のひとつでした。そういった遊び環境の分断が起きている子たちでも周りの子たちと同じように揺れ体験を楽しむことができるブランコを研究した結果“こもり型”のブランコに辿り着きました。


Hiroyuki Beniya
Doctor

福井医科大学(現・福井大学)医学部卒業。福井県立病院、福井県内の診療所勤務を経て、2011年、在宅医療を専門に行う「オレンジホームケアクリニック」を開設。医療的ケア児の活動拠点「オレンジキッズケアラボ」や、地域の幼小中一貫校との連携による病児保育を中心とした在宅医療拠点「ほっちのロッヂ」を立ち上げるなど、数多くのプロジェクトを展開している。

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Production story

SOLUTION

KOMORIの開発ではブランコが障がい児を排除している2つの課題に着目をしました。ひとつめの課題が「感覚刺激の多さ」です。ブランコには、景色の大きな変化、くさりの冷たさや匂いなど感覚刺激に過敏な子にとっては遊ぶことができない要因となっていました。そうした課題に対し、こもり型のブランコを開発することによって余分な感覚刺激を排除し、ブランコ本来の揺れ体験は楽しむことができる新しいブランコの在り方を見出しました。また、ふたつめの課題として姿勢を安定させることができない子が排除されてしまう、という状況に対してもこもり型の形状にすることで自分の好きな姿勢で落下の心配が少なく遊ぶことができる状況を生み出しました。

HOW IT WORKS

健常な子では一人でブランコの揺れ感覚を楽しんだり、複数人で入ってハウス遊具のように自分たちの居場所を楽しむような光景が見られました。医療的ケア児では大人にサポートされず、自分の小さな力で起こした揺れを楽しむ様子やゆったりとした揺れを感じそのまま寝てしまう子などが見られました。また、公園などの実績が増えていく中で心の整理が苦手な子の居場所になったり、親子や中学生が記念撮影をする場所になったりなど、障がいの有無に関わらず誰もが集い自分らしく遊ぶことができる媒介のような新しい遊具の在り方も見受けられています。

KOMORI

サイズ:1300×2600×H1790mm
材質:FRP/鉄

2023 KIDS DESIGN AWARD 審査委員長特別賞