遊具とアフォーダンス / 丸いかたち
OMOCHIは、まさにおもちのようなかたちが特徴的な低年齢児向けのFRP製遊具です。思わず触れてみたくなる丸みを帯びたフォルムには、“よじ登る”“あらゆる方向に滑り降りる”という要素が内在されています。「何々してしまう」という、予測される行為のエッセンス(要素)を多く含んでいて且つ単純で自由度があるものが、OMOCHIに内在する遊具としての価値だと考えています。
子どもの直観に応えるかたち
OMOCHIに初めて触れる子どもたちは、本能的に、まずその曲面に体ごとかぶりつきます。中央の階段をのぼり、反対側のスライダーを滑り降りるという一般的な滑り台の機能は持っているものの、その機能に縛られることなく、子どもたちは湧き上がる直感のままに、側面をよじ登り、そこを滑り降り、全身でOMOCHIの形状を体感し確かめようとします。こうした行為は、経験を積んだ大人には無意味でも、子どもにとっては身体感覚を認知する大切なあそびです。
子どもが遊びを作り出す
OMOCHIは大人の目から見ると、どのような遊びを子どもたちから引き出そうとしているのか分かりません。しかし、子どもたちは、OMOCHIのもつ独特のフォルムを元に様々な遊びを自ら作り出して行きます。子どもたち一人一人が思い思いにこの遊具を使うことにより、新しい遊びがどんどん創発されていきます。OMOCHIは、大人が規程する遊びではなく、子どもの直感的な遊びを引き出します。
2003年NAOTO FUKASAWA DESIGN 設立。 卓越した造形美とシンプルに徹したデザインで、イタリア、フランス、ドイツ、スイス、北欧、アジアなど世界を代表するブランドのデザインや、国内の大手メーカーのデザインとコンサルティングを多数手がける。デザインの領域は、腕時計や携帯電話などの小型情報機器からコンピューターとその関連機器、家電、生活雑貨用品、家具、インテリアなど多岐にわたる。2010〜2014年グッドデザイン賞審査委員長。多摩美術大学教授。日本民藝館館長。
Images
Production story
OMOCHI
サイズ:2000×2000×H700mm
材質:FRP
2011 GOOD DESIGN AWARD
2012 KIDS DESIGN AWARD